内容
橋本 孝 日本グリム協会会長
宇都宮大学名誉教授
ドイツのビーレフェルトという町に、「ベーテル」という総合医療福祉施設がある。「施しより仕事を」をモットーに、障害がある者もない者も共に働き生活することで、共生を目指している。町には各種の普通学校はもちろん、特殊養護学校、職業訓練校、神学校などを備え、パン屋、自動車部品工場、農場、ホテル、レストラン、オーガニック食料品店など多数の店舗で障害者が働いている。しかし、ベーテルが現在のような医療・福祉の町として平穏な生活を勝ち得るには、ナチの安楽死政策への抵抗など、長く厳しい時代を乗り越えなくてはならなかった。